人に伝える時は「三顧の礼」で書く

「アノ映画見たの? どうだった?」

そう聞かれた時、あなたはどう答えるだろうか?

面白かった様々なシーンが頭をよぎりながらも
口では「うん、面白かった…」としか返せないことないだろうか。

「良さを人に伝えることは、なんて難しいんだろう」

私は長いことこの問題に悩まされてきた。

「うまく言えないけど良かった」の「上手く言えない」を具体化できるようになると
人生はずっと楽しいものになる。

小学校の読書感想文でも一行で終わることもない。
本や映画の感想を求められたときに具体的な話ができれば会話が弾むようになる。
大事な商談で、製品の良さを「刺さる」ように伝えられるようになる。

私はこの問題を「三顧の礼で書く」とことで解決してきた。

三顧の例とは、三国志好きの人には説明するまでもないだろう。
三国志を知らない人に説明すると、

昔、中国の偉い人が、若い優秀な人を部下にするために
わざわざその若者の家に3度も足を運んでリクルートした

という逸話だ。

私はこの故事を
「何かを為すためには、手間でも3回はトライする必要がある」
と理解している。

何かを人に伝える時も同じだ。

伝えたいことは、3回書く。

私の書き方はこうだ。

1回目。

1回目はグチャグチャと書いていく。
「言葉の闇鍋」を作り出す作業だ。

A4サイズのウラ紙を用意し、思いつくままに浮かんだことを書く。

文章になっていなくても大丈夫だ。単語の羅列だけでいい。
関連する単語は矢印などでつなぐ。

マインドマップも近い方法だと思う。
しかしマインドマップは核となる“本題”が最初から決められており
核を中心にキーワードを展開していくやり方だ。

私の1回目のやり方は、核が決まっていない。
むしろその核を探すための方法だ。
ここで言う「核」というのは
「相手に刺さる、ベストなセールスポイント」のことを指している。

とにかく頭に残ったシーンを頭の中から絞り出す。

私はまずこの方法で、核を探し出す。

読書会で良かった本を紹介するとき、
ブログで何かを伝える時、
大事な商談でお客様に製品のメリットを伝えたい時。

ときにはA4サイズ数枚に及ぶこともある。
何故か4枚が限度だ。

A4用紙5枚以上の情報は人のワーキングメモリーに残せないのだろうか。

さておき、出てきた単語の羅列から「核」を見つける。

2回目。

2回目は大体の構成を考える。

必要なのはこの3つだ。
・タイトル
・3つの具体例
・結論

2回目はA4のウラ紙に書いていくこともあれば、
ノートに残しておくこともある。

核が決まったら、タイトルとして上段に書く。
その下に、核を裏付ける情報や例え話を3つ記載していく。

「三顧の礼」というのは「3個の例」でもある。

たとえば「日記はビジネスマンに必須なツールだ」という

核で伝えたい場合。

「日記を書くことで感情の整理ができる」
「日記を書くことで語彙力がアップする」
「日記を書くことで記憶力が良くなる」

といった具合に3つ具体例を書いていく。

そして結論。
大体タイトルと同じ内容でOKであることが多い。
タイトルを言い換える語彙力が鍛えられる。私も現在進行形でトレーニング中だ。

3回目。

「三顧の例」は「3度目の正直」と似た言葉だと思う。
3度目が本番だ

ブログであれば、執筆作業。
仕事であれば、手帳に記入する作業。

2回目で整理した情報を、口語調にしていく。

仕事上、本当に大切なプレゼンであれば
接続詞から最後の「です」「ます」まで、
きっちりした台本にすることもある。

もちろんメモ書き程度で済ますこともある。
口語調(ブログであれば文語調)への変換作業であればOKだ。

これらの3つのステップを経て、
「なんとなく良かった」が
「具体的に言うと○○が良かった」と伝えられるように変わっていく。

なお、3個の例はすべて言わなくても良い。

1個の例だけ伝えて、それでも相手に響かなかった場合、
「他にも……」と2個目の例、3個目の例を挙げていけば
「話題の引き出しが多い人」になれる可能性だってある。

というより、仕事でお客様と面談するとき、
長々としゃべる営業はあまり好かれない。

会話の引き出しとして、また懐刀として情報を持っておくためにも
3個の例は必要なのだ。

そして何より、自分の伝えたいことを自信たっぷりに伝えられた時の達成感は他の何物にも代えがたいものがある。普段から口下手であればなおさらだ。

三国志時代に1つの国を作るためにも
現代で誰かに何かを伝える時にも
「三顧の礼」は役に立つ。