「今週はどの本を紹介しようか?」
毎週水曜の朝は読書会にに顔を出すことが日課になった。
毎週、必ず1冊の本をセレクトする必要がある。
そしてそれは、何でも良いわけでは無くて、
「他人が読んでもメリットのある本」である必要がある。
……というと聞こえはいいが、
「良い本を読んでいます」という見栄でもある。
書店に行っては、「良い本」に見えそうなものを物色する。
書棚にあるものは良書なのかどうなのかなかなか検討が付かない。
平積みになっているもの、とりわけ、「書店のおススメ」として入口近くに置かれている書籍などが私のチョイスのターゲットとなった。
そのなかで自分の目を引くものを選んでレジに並ぶ。
しかし何かがモヤっと引っかかっていた。
もうちょっと面白いものを選びたい。
でも、何が「面白い」といえるのだろう?
そんなある日の読書会のことである。
その日に集った発表者は6名だった。
2名は自分の選びそうな本を準備し、3名は自分の選ばないような本を持ち込んでいた。
一通り発表が終わると、フリートークの時間になる。
自分の選びそうな本グループと、自分の選ばないような本グループに分かれていた。
そのなかで印象的なコメントを発した人がいた。Bさんとしよう。
あのセリフは、近視の人がコンタクトレンズを装着した時のようなスッキリ感だった。
今でも当時の衝撃を覚えている。
「こちら3人は『社会の本』でこっちの3人は『自分の本』だよね」
社会の本と自分の本。
そうだ! それだ!
「自分の本」というのは所謂スキル本である。
本を読むことで時間管理や生活習慣など、自分を変えるために存在している。
「社会の本」というのは社会環境に関する本である。
当時はAIやビットコインなどが流行していた。
自分の外の世界で起きていることに目をむける本だ。
変わっていくのは自分ではなく社会だ。
私が探していた『面白い本』は「社会の本」のことだった。
私が読みそうな本というのはまさに「自分の本」の事だった。
自分が変わっても、社会で起きていることを理解していないと適応することはできない。
自分の生活圏内に起きていることにも興味を持つべきだ。
この『社会の本』と『自分の本』というカテゴリ分けの衝撃は私の読書ブログにも強い影響を与えた。
靄が晴れた私は、社会でテクノロジーや自然科学、金融などの書籍にも手を伸ばすきっかけをくれた。自分の興味だけでは決して手を伸ばさなかったジャンルの本だ。
自分の本ばかり読んでいても足りない。
もっと外の世界にも目を向けよう。
今日のひとこと
・本は「自分が変わるための本」と「社会で起きていることを理解するための本」の2つがある