【感想】日本史の「なぜ?」が読み解ける歴史古典この10冊 (KAWADE夢文庫)

令和になった途端、万葉集が売れたと聞く。
確かに、歴史古典と言われても、「タイトルだけ知っている」という程度で、
誰についてどう書かれたものなのか殆ど知られていない。

現在も歴史モノはとても好評なようで、テレビドラマにスマホゲームに、歴史を題材にしたものは後を絶たない。武将がイケメンにリメイクされていたり、個性を加えて魅力的にしたり。歴史に名を刻んだ彼らが現代を知ったら、きっと驚くに違いない。

「けど、実際の古典に書かれた人物像はどうだったのだろう?」

本書はその謎を読み解いていく。

そしてその中で浮き彫りになるのは、登場人物だけではない。

「書き手が後世に何を伝えたかったのか?」ということもわかってくる。

”名前だけ知っている古典”のそれぞれに個性があるのだ。

たとえば、5章では『将門記』が取りあげられた。
将門記から見えてくるのは平将門の活躍だけではない。
弱者を見捨てられない性格で義侠心の強い者であったことや、
悪代官のような相手に対しても最後は温情を掛ける人柄が伝わってくる。

一方で戦乱で苦しむ民衆の姿も強く描かれている。
合戦やそこで戦った人物を美化することなく、良いことも悪いことも淡々と描かれているのだ。

筆者が本当に記述したかったのは、平将門ではなく『平和への願い』だ。
武家も農民も、皆が平和を願っていたということを
後世に伝えたかったのではないかということがわかってくる。

本書は歴史書とよばれる書物を避け、古典に絞って10冊を紹介している。

史籍の著者の想いを汲み取りながら知る歴史古典は、また違う面白さを感じられる。



本書の10冊 :古事記 大鏡 将門記 愚管抄 平家物語 蒙古襲来絵詞 太平記 信長公記 太閤記 日本外史

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