こんにちは。
今日は、ベストセラーを作れる編集者の考え方
について書いていきたいと思います。
著者の植木宣隆さんはサンマーク出版の立ち上げに携わり、
現職は代表取締役社長。
サンマーク出版は、社員数50人にも満たない小さな出版社でありながら
出版業界の売上が半減した25年間に、驚異のミリオンセラー8冊、海外版2500万部を達成! という驚異のメガヒットメーカー出版社であります。
売れる本を多数生み出してきた植木さんの編集者生活の集大成です。
『脳内革命』(なんと410万部!)を始め、多数のベストセラー出版に携わられています。
部下も『人生がときめく片づけの魔法』『生き方(稲盛和夫)』『コーヒーが冷めないうちに』などメガヒットを次々と出しています。
現役編集者やこれから編集者になりたい方、出版に興味があるという方におススメの本です。
Contents
植木さんは「失敗受容力」が高い!
植木さんはリーダーとして、部下への「失敗受容力」、信頼力とでもいうのでしょうか。
これが非常に高く、印象的でした。
他人を許すことは、自分の利益に返ってくるんだろうなぁ~。あ、「失敗需要力」は私の思いついた単語です。もっといい表現、ないかなぁ~。
象徴的なエピソード3つをご紹介したいと思います。
・敗因分析はしない
・歯を食いしばってでも褒める
・編集者特権を与える
■ 敗因分析はしなくていいんだよ
まずね、植木さんは売れなかった本が出ても部下に「なぜ売れなかったんだよっ!?」と敗因を詰めることが無いんですって。
会社勤めの人は普通ありますよね。
怒られるかどうかはその時の状況次第ですけど
ワタシは営業ですけど「失注した原因を分析しろ」って言われること、多いです。
植木さんが部下に敗因分析を指せない理由は
『自身も沢山失敗してきたからです』
このひとこと。
なんともシンプル。
植木さん自身も「○○であれば売れる」という普遍のロジカル性は「無い」と断言されています。
売れる!という条件を満たしていても売れない本、
売れない…。と思われていたのに売れた本、
色々と向き合ってきたのでしょうね。
■これからは「歯を食いしばってでも、耐えろ」ではなく「歯を食いしばってでも褒めろ」の時代
「失敗受容力」が高いとこんな名言も出てきます
「歯を食いしばってでも、人(部下)を褒めろ」
めっちゃいい言葉やん。私はこの言葉、衝撃的でした。
多少の欠点に目をつぶってでも
一つのことに突出した人間を育てたほうが良い
という意味です。
尖った人間って、少し最近では「一部の職業に求められているスキル」
と思われていたと思います。
出版の世界もそうですが、芸術や芸能とか。
最近はYoutubeやnoteなど、一億総発信時代になって
「全員が尖っている」時代になりつつあるのを実感しています。
その意味でも、これからの時代「歯を食いしばってでも人を褒めろ」
という言葉が生きてくる時代になってくるのではないでしょうか。
■編集者特権を与える
「失敗受容力」が高いからこそできること、3つ目。
編集者特権を社員に使わせる!
編集者特権とは、年に一度、編集者がどうしても出したい本を
形にするイベントとこと。
編集者会議で落ちた作品の敗者復活もあるようで
一昨年話題作となった「コーヒーが冷めないうちに」なんかも
そうして大ヒットになったのだそう。
サンマーク出版は実用書系が多くて小説分野には暗い会社なのですが
編集者の熱い想いが、本屋大賞候補作にまで作品を育て上げたのですって~!!
タイトル「思う事からすべては始まる」というとおり
植木さんは、編集者一人一人の熱い想いをいかに大切にしているかが窺えますね。
■植木さんの受容できない人は多分こういう人
と、ここまで書いていけば
植木さんは何でも受容してくれる菩薩のような人
というイメージが出てきてしまいますが、
多分、サンマーク出版を育て上げるただけに
厳しい面もあると思うんですよ。
もっとも、本には載せられていなかったけれども。
多分、植木さんの受容できない人はきっと
「想いが無い人・弱い人」だと思います。
「入社面接では目標達成力の高さを重視します」とおっしゃっていました。
社員の情熱を信頼しているからこそ多くを受容できるのだと思います。
売れる書籍の条件は
さて、ここからは売れる書籍の条件に関してもおぼえがきを纏めていきます。
1) 編集者が「どうしても売りたい!」と思っていること
もう文字通りですね。
2) けったいな作品であること
例えば「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法(Keiko著)」はベストセラーになった“けったいな本”です。
この本、私も読みました。
「開脚すると健康になる」などの文言は一つも入っておらず、「ただ開脚ができる」というだけの本。それでありながらミリオンセラーになったのだからもう、「開脚したい」という日本人の潜在ニーズが実はもの凄いがあったのでしょうね。
(なお私は肘まで付きます。ベターッはまだ遠いな)
3) 著者のメッセージ性が高いこと
これも納得ですね。
で、サンマーク出版は積極的に無名の新人作家の出版を手掛けているのだそうです。
何冊も焼き増しされた有名人の本より、無名の新人が世に出る時のメッセージの熱量の方が良書につながる! という植木さんの哲学でもあります。
4) 女性に支持される作品であること
男性ビジネスパーソン向けの作品であっても、30万部を超えると女性や高校生などの他の層にも購入される本にいくそうです。
とくに女性は口コミで宣伝してくれるので、女性に支持されることもキーになります。
5) ロングセラーになること
出版社の恐れるもの、それは書店からの「返品」なのだそう。
10年前に出した本は返品されることはあっても、捌けなくなり在庫になってしまいます。
……ということは、10年経っても売れるロングセラーを発売すればOK!
ナルホド。「人生がときめく片づけの魔法」はまさにそんな普遍性がありますよね。
まとめ
爽やかな装丁とは裏腹に、
とても熱い、熱量の高い本でした!
「本を通じて世界に驚きと感動を与えたい!」
そんな叫びが聞こえてくるようです。
最後まで読んでいただきありがとうございました☀